トランザクションレベル・モデリング

トランザクションレベル・モデリングのプロセスおよびメソドロジは、設計フロー全体の基盤であり、その効率および持続性に対して多大な影響を及ぼします。TLM(Transaction Level Modeling)はESLのコンセプトの鍵であり、サイクルごとの信号の変化を抽象動作へと引き上げ、高位での通信のモデル化を可能にします。

TLMにおいて、ユーザは単一ワード長あるいは完全なデータパケットに対するリード、ライトなどを、ファンクションコールによって操作することができます。またTLMでは、より高位の記述やデータ・オブジェクトを用いて、システムの機能をモデル化することにもなります。

TLM2.0はOSCIのTLM標準であり、設計業界全体でのモデルの相互運用性を可能にします。TLM2.0は業界全体にESL設計のインフラストラクチャを構築し、IPプロバイダ、半導体、システム会社間での再利用や相互運用性を促進します。またTLM2.0は、設計および検証の効率を改善するESLメソドロジを浸透させるのに不可欠な要素です。TLM2.0では、2つの主要なモデリング・メカニズム、つまりLT(loosely-timed)とAT(approximately-timed)を定義しています。これは異なるレイヤにおいて、いかにモデルがデータを交換するか、そしてデータ・ペイロードを定義します。

TLM 2.0の主要な特徴

  • OSCI TLM 2.0標準に基づく標準的な通信レイヤ
  • C/C++およびSystemCを使用し、さらにSystemVerilogにも拡張
  • ハードウェアおよびソフトウェアのモデリングに最適
  • 正当性とその解析に使用可能
  • データと制御の両タイプの通信プロトコルを定義
  • 標準ペイロード定義を含む
  • メモリおよびデバッグのためのインタフェース機能を提供

スケーラブルなトランザクションレベル・モデリングのメソドロジ

ランザクションレベル・モデリング(TLM)は、モデリング、正当性検証、解析および実装プロセスをサポートする抽象度の高い設計手法です。メンター・グラフィックスは、通信方式、機能、消費電力/タイミングを切り離したレイヤ方式のアプローチに基づいたTLM2.0スケーラブル・モデリング・メソドロジを提供しています。このレイヤ方式のアプローチでは、単一のモデルにより、機能記述をESL設計サイクル全体から実装段階まで維持することができます。

機能を表すアンタイムドのレイヤでは、モデルが「何」を行うかという動作を定義し、タイミング/消費電力レイヤでは、機能が「どのように」実装されるかを反映します。タイミングのレイヤでは、基本的に与えられた機能を実現するマイクロ・アーキテクチャ実装に関連したタイミングを定義し、それには必要な処理時間のレイテンシ、ポートを超えたパイプライン段数や、waitステート数による応答時間などが反映されます。

設計プロセスにおいて、タイミングと消費電力は、抽象的なアンタイムドなビューからターゲットとなるマイクロ・アーキテクチャの詳細な実装のビューに至るまで、単一のモデルで表現されます。

このレイヤ方式のアプローチにより、同じモデルを切り替えモードで使用することも可能になり、高速なアンタイムドのソフトウェア実行用のモード("LT"モード)から、ハードウェア検証や性能、パワー解析を目的とした詳細なシミュレーションモード(”AT”タイムドモード)までを、簡単に切り替えることが可能です。

機能とメリット

  • 革新的なTLM2.0モデリングのアプローチ
  • レイヤ化されたモデリング手法
  • 通信、機能、タイミング/パワーの各レイヤへの分離
  • タイミングとパワーに向けたインクリメンタルなモデル詳細化が可能
  • ハードウェア検証とソフトウェア実行に求められる要求を満たす
  • システムレベルから実装レベルまでの一貫性
  • 自動化されたTLM2.0モデル生成
  • モデリング労力の低減
  • 機能と通信方式を分離
  • 動作モデルのためのクラスを定義
  • タイミング/パワーのためのポリシーを定義
  • 多様なマイクロ・アーキテクチャの容易な探索が可能