オートモーティブ

2016年 Summer / Vol. 18

安全でセキュアな自動運転車の実現に向けて

ハイテク業界に身を置いていると、新製品を売り込む誇大広告にうんざりしたことは一度や二度ではないはずです。現れては消えていく新技術の多くは、プロモーションビデオや製品デモがどれだけ魅力的でも、実用性に乏しかったり単なる贅沢品として扱われたりすることがほとんどです。しかし、こうした新技術に対する冷ややかな期待感は、自動車業界、特に運転支援技術に対するニーズとそれに応える実用技術には当てはまりません。自動車業界において求められる技術は、適応走行制御(ACC)や車線逸脱警報システムといったすでに一般に広まりつつある機能から完全自律走行などの実用化まであと数年はかかるだろうと思われる未来の技術まで多岐にわたります。こうしたことを考え合わせると、自動車業界における技術進歩は、人々の生活を最大限向上させることを目指すものであるのと同時に、人命を守るために自動車メーカーとハイテク業界が力を結集させた結果と言えるのではないでしょうか。

2016年 Spring / Vol. 17

自動車EEアーキテクチャのためのモデルベースシステムエンジニアリング

2015年12月に名古屋と品川で開催されたIESF (Integrated Electrical Solution Forum) 2015 Japanでは、その基調講演において、自動車の電気電子(EE)設計に向けたモデルベースシステムエンジニアリングのアプローチが紹介されました。このアプローチは、ソフトウェア、ハードウェア、ワイヤ・ハーネス、ネットワークなどをすべて含んだ車載システムのエンジニアリングをコンピュータ上で行う手法で、数多くのメディアに取り上げられました。

2016年 Winter / Vol. 16

ISO 26262認証にかかるコストを抑える

機能安全という考え方は、多くの産業分野で用いられています。それぞれの分野に特化した規格や表現が存在し、その多くは国際電気標準会議が制定したIEC 61508を手本としています。IEC 61508は元来、発電所を対象に制定されたものですが、現在では工作機械や産業ロボットにおいても採用されています。この他に、IEC 62304はIEC 61508をベースに医療機器に向けて制定したもの、ISO 26262は道路を走る車両の電気システムに向けて制定したもの、EN 50128は鉄道における信号方式、制御方式に向けて制定したものなどがあります。

2015年 Autumn / Vol. 15

KSK – モジュール型のワイヤ・ハーネス設計/製造

車両1台を1つのプラットフォームとみなした場合、自動車のワイヤ・ハーネスはプラットフォーム全体のシステム接続の機能を担うため、自動車の開発工程において最後に設計され、最初に車に搭載される電気部品となります。また、納車時期を左右しかねない極めてクリティカルな要素でもあります。ワイヤ・ハーネスの実装は、ほぼ手作業で行われるため、人件費を含めた高精度のコスト見積もりが求められます。さらに自動車購入時のオプションの選択肢が多様化することで、電装構成の組合せ数は爆発的に増大したことから、それを接続するワイヤ・ハーネス部品の適切な管理がなされない場合、部品管理、製造工程管理、品質管理、市場投入後の整備や整備マニュアルといったすべての領域において破綻をきたしかねません。

2015年 Summer / Vol. 14

ワイヤ・ハーネス開発を支えるツールの技術的要素

自動車の電気化、電子化が進むにつれ、ECUや電装部品を接続するワイヤ・ハーネスも非常に複雑な部品へと進化しています。自動車のオプションが増え、その組合せ数が膨大になるなかで、ワイヤ・ハーネスの設計においては、論理、電気特性、熱特性、重量、コストなど、あらゆる側面の要件を満たす必要があります。

2015年 Spring / Vol. 13

音に関する人と車の関わり方

2014年7月9日、メンター・グラフィックスはXS Embedded(XSe)の買収を発表しました。オートモーティブ市場向けの製品ラインを拡充するとともに、SOP — すなわち、量産開始までの時間を短縮するソリューションを既存組込みソフトウェア製品と融合させることで、より付加価値の高い支援を自動車OEMメーカーおよびサプライヤに対して提供していくことを狙いとしています。この発表を取り上げたメディアは、世界で460社以上にも及びました。

2015年 Winter / Vol. 12

ワイヤ・ハーネスのアーキテクチャを制約ベースで探索する手法

車載電装システム設計ESD - Electrical System Designの世界は、少し前のICやPCBの設計を見ているかのようです。複雑化が進み、仕向地や購入オプションの組み合わせによるバリアント、実装上のルール、安全標準への準拠など、エンジニアリングチームが手作業でこなせる能力を超えてしまっています。かつてICやPCBの設計に自動化技術の導入が進んだように、ESDやワイヤ・ハーネスの設計にも自動化のさらなる推進が求められています。それは単に図面を目視確認して出図する従来のものとは異なります。

2014年 Autumn / Vol. 11

車載ネットワークCANとは

CANはController Area Networkの略称で、車載アプリケーションを構成する各システムやセンサを接続する手法として、旧来使われていた複数ワイヤによる構成方法を置き換えるべく開発されたシリアルバスのプロトコルです。CANは1986年のSAE World Congressで公式にリリースされ、その後2008年には、米国で販売される自動車に対してCANを使用することが求められました。CANの開発にあたっては、車載のマイクロコントローラやデバイスが、ホストコンピュータを介さずに通信することができることが念頭に置かれています。コンポーネント間通信にはシングルまたはデュアルワイヤのネットワークデータバスを用い、最大で1Mbpsまでの通信が可能です。

2014年 Summer / Vol. 10

オートモーティブで採用が進む組込みLinuxとファストブートへの挑戦

自動車業界の著名アナリストであるPaul Hansen氏によると、メルセデス・ベンツの2014年Sクラスに搭載されているソフトウェアコード行数は6,500万行にも及ぶそうです。車載コンポーネントごとに要求される性能があり、モータやエンジンなどのように個別のアクチュエータを制御するマイクロコントローラには、通常OSは使用されず、ほとんどがベアメタルで構成されています。しかし、インフォテイメント系、テレマティクス系、クラスタパネル系、ヘッドアップディスプレイ系には、最終アプリケーションが搭載されたり、他との接続プロトコルを扱ったりすることから、一般的にOSが採用されています。

2014年 Spring / Vol. 9

はじめてのAUTOSAR

車載エレクトロニクス業界のバイブルとも言われる調査報告書であるHANSEN REPORTによれば、メルセデスのベンツSクラス-2014年モデルに搭載されるECUのマイクロプロセッサは200個以上、車載ソフトウェアのコード数は最大で6500万行に及ぶそうです。2000年のコード行数は最大でおよそ100万行でしたが、その当時から2015年には1億行に達するという予測がありました。

2014年 Winter / Vol. 8

コネクテッドカーの課題と今後についてのまとめ

「コネクテッドカー」という言葉を耳にした方も多いのではないでしょうか。コネクテッドカーと聞くと、一般的には、単に車両システムにインターネット接続機能を追加しただけと思われがちです。確かに、注目すべきはインターネットやWebテクノロジが可能にする機能であり、例えば「App Store」方式のソフトウェアアップデートやクラウドへのアクセス、故障診断やテレマティクス機能など、さまざまです。しかし実際には、車内のコネクティビティとしてはCAN、AVB、Wi-Fi、Bluetoothなどを介したモジュール間接続、車外のコネクティビティとしてWi-Fi、LTEやセルラーネットワークなどを介した音声やデータの接続、テレマティクスやADAS向けのM2Mテクノロジなどを包含します。

2013年 Autumn / Vol. 7

48V/12V車両システムのトレンドと新たなテクノロジ導入の見極め

ドイツの自動車OEMメーカーでは48Vシステムの採用が進んでおり、2015年から2016年のモデルでの市場投入が予定されており、特にプレミアムカーから48V採用が始まり、一般車へと普及が進むと言われています。自動車業界において、バッテリやシステムの高圧化の動きは今回が初めてではなく、1990年初期、2000年初期に欧州を中心として活発化したものの、結局、各OEMメーカーとも採用には至りませんでした。

2013年 Summer / Vol. 6

ドキュメントと保守整備向けの新しいテクノロジで、コストを削減しつつブランドイメージを向上

車載電装設計や故障車の修理向けドキュメント作成に関する技術は、近未来を想像させるインテリジェントな交通網や無人走行車の開発に関連する技術に比べると、華やかではないかもしれません。しかしドキュメント作成は時間とコストのかかるプロセスであり、しかもエラーが混入しやすいという側面があります。

2013年 Spring / Vol. 5

車両走行システムのプロトタイピング

自動車などをはじめとする車両走行システムの開発環境において、メカニカルブロック、電気回路ブロック、制御ブロック、ソフトウェアブロックなどのシステムモデルを連成させて解析する「仮想プロトタイピング設計」に対するニーズが高まっています。仮想化により車両走行システムの性能を設計早期の段階から解析することで、最終的なシステム応答が予想しやすくなります。

2013年 Winter / Vol. 4

機能安全に求められる要件トレース

機械設計が中心だった自動車開発にも電子化の波が押し寄せ、今では走るコンピュータ・システムとまで言われるようになりました。数十にもおよぶECUがゲートウェイやクラスタを介してネットワーク接続し、膨大な行数のソフトウェアコードや多数のマイクロコントローラ(MCU)が使用されています。複雑なシステムと化した自動車における適切な機能安全を確保するために、自動車業界ではさまざまな安全基準に関する標準化、国際化が進んでいます。

レーシングカー設計に普及するECADツール: MCADプロセスを補完し、勝てる車を実現

2012年 Autumn / Vol. 3

レーシングカー設計のトレンド: 電気設計ツール

レーシングカー設計は、レースそのものと同様に、目まぐるしい変化と大きなプレッシャーにさらされています。設計者の誤った判断は、レーサーの操縦判断ミスに匹敵する惨事につながる恐れもあるからです。レーシングカーでは、シャーシやブレーキその他の諸要素が、緊密に統合されたユニットを形成している必要があります。この要件を満たすため、F1(フォーミュラ1)をはじめとするレーシングチームでは、ボディワークやシャーシ形状など、あらゆる機械系統の開発においてCADツールに頼るようになっています。

2012年 Summer / Vol. 2

自動車開発における課題と開発環境

自動車内部の電気/電子システムは、近年非常に大きな変化を遂げています。急速な技術の進歩、安全性や環境保護に関する法規制の強化、消費者ニーズの高度化などが設計の複雑化を招いており、自動車電装システムの製造コストにもたらす影響も大きくなってきています。自動車内部に搭載される電子機器や組込みソフトウェアは急増し、車両内を流れる信号の数は以前とは比べものにならないほど増えています。同様に、電装システムの設計も飛躍的に複雑化が進んでいます。

CANネットワークのシミュレーション・テストベンチ

2012年 Spring / Vol. 1

MCAD/PLMシステムと連携した電気シミュレーションの活用について

自動車や航空機、ロボットなど現代の機械装置は、複雑なエレメカ・システムと考えられています。Time-to-Market短縮、品質向上、トータルコストの最小化など、市場の厳しい要求に応えるには、製品のデジタルモデルを作成してその特性を評価、最適化する仮想プロトタイピング・ベースの設計プロセスが必要です。このモデル化では、専用のソフトウェアを使って電気的な挙動と性能を予測する電気シミュレーションが重要な役割を果たしますが、信号減衰などのパラメータを計算するには物理的情報が必要になるなど、電気シミュレーションは機械設計と強く結び付いています。