News and Views 2014 Spring / Vol. 9: 上流設計&組込み

2012年の機能検証に関する市場調査

はじめに

2002年と2004年に実施されたRon Collett International, Inc.によるASIC/IC機能検証の市場調査は、電気電子業界の設計や検証に関するトレンドを示すデータ、情報として重要な役割を果たしていました。しかしそれ以降、機能検証を主眼に置いた市場調査が実施されることはなく、客観的な視点に基づいた業界のトレンドを知ることが非常に難しくなりました。

そこで、メンター・グラフィックスは、2007年の秋にFar West Research、2010年および2012年の秋にはWilson Research Groupに委託し、機能検証に関する市場調査を継続してきました。この調査は解答の偏りをなくすために盲検的に実施され、かつ従来のトレンドとの比較ができるように既出の質問形式を踏襲しています。ただし、2007年までは北米のみを調査対象としていたのに対し、2010年以降はワールドワイドに対象に広げました。アメリカ合衆国、カナダ、イスラエル、フィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、スウェーデン、イギリス、インド、中国、韓国、台湾、そしてもちろん日本も調査対象に含まれています。もう1つの違いは、重要度が増すFPGAの機能検証についても調査項目に含めたことです。

ワールドワイドでの市場調査の結果は、調査実施と分析に当たったメンター・グラフィックスのHarry D. Fosterのブログでも見ることができます。News & Views onlineでは、特に日本国内とワールドワイドの比較についてご紹介しましょう。

図1. ますます求められる検証エンジニア: ワールドワイドの傾向図1. ますます求められる検証エンジニア: ワールドワイドの傾向
図2. ますます求められる検証エンジニア: 2012年における調査での日本 vs. ワールドワイド比図2. ますます求められる検証エンジニア: 2012年における調査での日本 vs. ワールドワイド比

設計エンジニア/検証エンジニア

図1.はワールドワイドでの設計エンジニアのピーク人についてです。2007年と比較すると、検証エンジニアのニーズが高まっていることが分かります。設計能力と検証能力を比較するマーケティングデータがありますが、実際の人数として設計エンジニア1人に対して検証エンジニアが1人必要というところまできています。これに対して図2.を見ると、ワールドワイドと比べて日本では検証エンジニアの割合が少ないことが分かります。

図3. 標準テストベンチ言語の採用図3. 標準テストベンチ言語の採用
図4. SystemVerilogの導入: 2012年における調査での日本 vs. ワールドワイド比図4. SystemVerilogの導入: 2012年における調査での日本 vs. ワールドワイド比
図5. 高度な検証技術の活用: ワールドワイドの傾向図5. 高度な検証技術の活用: ワールドワイドの傾向
図6. 高度な検証技術の活用: 2012年における調査での日本 vs. ワールドワイド比図6. 高度な検証技術の活用: 2012年における調査での日本 vs. ワールドワイド比
図7. フォーマルプロパティチェックの導入: 2012年における調査での日本 vs. ワールドワイド比図7. フォーマルプロパティチェックの導入: 2012年における調査での日本 vs. ワールドワイド比

SystemVerilogの導入

SystemVerilogは、IEEE 1800として特にシステムレベルの設計や高度な機能検証を念頭に標準化された言語です。近年、設計はVHDLでもテストベンチはSystemVerilogを採用するというプロジェクトが多くなっています。図3.は、テストベンチとしてどの言語を使っているかについての複数回答可能な設問です。2007年から2010年にかけて、Verilogユーザ数が減少しているのに対し、SystemVerilog導入が急激に増えています。そして2012年でも拡大しています。これに対して図4.では、日本のVerilogユーザの割合はワールドワイドのそれに比べ多く、SystemVerilogユーザの割合は若干下回っています。まだVerilogでテストベンチを記述しているプロジェクトが多いことがうかがえます。

VerilogとSystemVerilogを比較した場合、機能検証においては明らかな差があります。それは、アサーション、機能カバレッジ、制約付きランダムシミュレーションなどの検証技術が使えるか使えないかを意味します。図5.は、ワールドワイドでの2007年/2012年比較で、このような検証技術の伸びを示したものです。多くのプロジェクトで、最新検証技術の導入が伸びていることが分かります。図6.は、この検証技術の導入を日本とワールドワイドで比較したものです。コードカバレッジは、VerilogでもSystemVerilogでも測定可能なため、日本とワールドワイドでの差異は多く見られませんが、機能カバレッジや制約付きランダムシミュレーションでは大きな差異が出ています。検証技術の導入については、日本が遅れていると言わざるを得ません。

フォーマル検証

しかし、悪い情報ばかりではありません。図7.から、フォーマル検証の導入は日本の方がワールドワイドよりも進んでいることが分かります。ここでのフォーマル検証とは等価性検証ではなく、あくまでもプロパティチェッキングによるフォーマル解析技術をベースにした検証技術です。1990年代に登場したプロパティチェッキングの技術は、導入が難しく、ごく一部のユーザにしか採用されませんでした。しかしフォーマル技術も自動化が進み、最近ではプッシュボタン式で使える技術も出現しています。Questa Formal Verificationもこのプッシュボタン式を採用し、従来のプロパティチェッキングだけでなく、デッドロック特定技術、カバレッジクローズの技術、X伝播による解析技術、シミュレーションによるプロパティ生成技術など、問題の領域に特化した製品ラインナップを揃えています。このような検証技術が簡単に使えることから、フォーマル検証は増々導入が進むと予測されます。

まとめ

設計のトレンドの変化に伴い、検証技術の導入も組織構成も変化しています。国内のプロジェクトでもオフショアリソースの採用はもちろん、日本国外の他企業との提携も増えてきます。AccelleraやIEEEが策定する標準言語やそれによって実現可能な検証技術、検証技術の適用を進めるメソドロジの採用は、ますます進むでしょう。それは標準言語やメソドロジがコミュニケーションの基盤になると同時に、投資した検証資産が守られることにもつながるからです。国内のみの情報で判断するのではなく、今回ごく一部ですがここにご紹介した日本とワールドワイドの比較なども知っておくことが重要です。

News & Views onlineではそのすべてをご紹介することができませんので、下記リンクからダウンロード可能な資料を準備しました。ぜひご利用ください。

設計と機能検証に関する調査結果全編はこちらから

今すぐダウンロード