PCB熱設計、シミュレーション、解析

メンター・グラフィックスのPCB熱解析ツールは、ボードの温度/勾配マップ、部品温度とジャンクション温度、そしてこれらの温度が限界値をどれほど上回っているかといった情報を出力します。

HyperLynx PCB熱解析ツールは、片面につき最大3,000個までの部品をモデル化し、伝導、対流、放射を考慮した熱解析を行います。HyperLynx Thermalは、航空宇宙、コンピュータ、ネットワーキング、電気通信、産業制御、計測機器、車載エレクトロニクスなど、多くの業界のアプリケーションで欠かせない存在となっています。

特長と利点

  • 両面実装の多層基板で最大3,000個までの部品をモデル化
  • 主要なECAD配置パッケージ製品と接続できるため、ファイル転送が容易
  • ジャンクション温度を正確に計算することで、信頼性の予測性が向上
  • 分かりやすい色分けマップにより、明確なレポートの作成が可能
  • 世界中の主要なエレクトロニクス産業をすべてサポート
  • 直観的かつ容易に使用可能なWindowsベースのソフトウェア

実験風洞や赤外線イメージ炉でのテストにおいて、HyperLynx Thermalは一貫して+/-10%の精度が確認されています。この解析では、熱伝導、対流、放射に基づいて複雑なフローや温度場を完全に3次元モデル化します。この計算には、自己適応型の局所細分割したメッシュによる有限差分法を使用しており、極めて高速かつ正確な結果が得られます。解析にかかる時間は、同等の有限要素法解析プログラムのわずか50分の1です。通常、部品点数100個のボードなら、Pentiumプロセッサ100 MHz搭載のPCを使って12秒で解析できます。

Expedition、PADS、Board Station、Allegro、CADSTAR、OrCAD、P-CAD、Protel、Visulaなど、一般的な配置パッケージ製品との自動インタフェース機能を備えています。カラフルな温度/勾配マップの出力により、可読性に優れたレポートを作成します。

HyperLynx Thermalでは、多層基板や不規則な形状の基板も評価できます。基板は、キャビネットのエッジまたは内部への配置、ヒートシンクへのねじ止め、エッジのウェッジロックによる冷却、密閉筐体内への配置、強制対流を使用した開放型システムなどの評価が行えます。流れの場は自然対流または強制対流が可能で、密閉型システムは熱交換器で冷却できます。重力、気圧、流れの方向による効果もモデル化されます。ヒートシンク、ヒートパイプ、チップ・ファン、熱伝導パッドを部品に取り付けることも可能です。

Excess Temperature部品の故障率はジャンクション温度に指数比例し、I.C.テクノロジにも依存します。従って、各部品の限界温度はその部品の種類によって異なります。HyperLynx Thermalでは、ユーザが入力した限界温度からの偏差を画面上で確認することができます。

Board Temperature Mapボード温度マップ
メンター・グラフィックスの予測技術に基づく温度マップにより、基板上の熱伝導現象を明確に把握できます。熱膨張は温度に比例するため、高温の部位には動作中に膨らみや反りが発生することがあり、表面実装デバイスに接続不良が起こる場合があります。Hyperlynx Thermalを利用すると、設計段階で基板のホットスポットを発見できます。

Temperature Gradient温度勾配
HyperLynx Thermalには、ボード全体の温度勾配をカラー・マップとして出力する機能があります。一般に温度勾配が大きい部位では、熱膨張の急激な差によって強い熱応力が発生します。このような場所では、基板の亀裂や反りが発生しやすくなります。HyperLynx Thermalでは、基板上でこのような問題が発生しそうな部位を特定できます。

 
 

アプリケーション

 

バリデーション: PCB熱解析

 

ケース1

12のブロックから成る基板

最も単純なテストケースとして、ここでは12の電源ブロックから成る基板を取り上げます。各ブロックの高さは0.25インチですが、下から2列目の中央のブロックのみ高さ0.75インチです。各ブロックの電力は1Wで、基板の向きは垂直、冷却は自然対流です。表1に示したように、満足のいくデータ比較結果が得られています。

ブロック番号 測定結果(℃) HyperLynx Thermalの予測(℃)
1 57.0 56.3
2 58.0 60.6
3 69.4 70.0
4 66.5 64.7
5 54.2 52.9
6 60.9 60.9
7 64.8 64.0
8 61.1 58.9

ケース2

基板全体の赤外線

ここでは、ボード全体で赤外線の比較を行います。部品の消費電力はそれぞれ異なります。赤外線の測定は、基板を実際に自然対流で動作させて測定しています。実際の基板には、裏面に抵抗器とコンデンサが実装されています。手始めに、基板表面の主要な部品のみをモデル化して簡単な解析を行いました。基板全体から無作為に抽出した20のIC部品について温度比較を行ったところ、良好な精度であることが確認されました。以下の表に結果を示します。

 

番号 IRスキャン HyperLynx Thermal
1 82.8 81.6
2 82.9 85.0
3 84.7 84.2
4 84.3 83.7
5 90.4 90.3
6 82.7 84.0
7 81.7 81.3
8 81.1 82.8
9 79.1 83.3
11 88.1 89.0
12 82.9 80.8
13 82.3 79.9
14 86.6 84.4
15 77.7 78.9
16 76.4 77.4
17 75.5 76.4
18 77.8 76.2
19 73.1 75.5
20 74.2 74.8

ケース3

航空宇宙用基板テスト

航空宇宙アプリケーションにおける熱設計モデリング手法の例として、ここではAlliedSignal Aerospaceのエンジン・コントローラを取り上げます。エンジン・コントローラは極めて過酷な環境で使用されます。シミュレーションと設計イテレーションをすべて完了した後、エンジン・コントローラの初期プロトタイプを作成してテストを実施しました。テストは制御型試験で行い、特に消費電力の大きい部品についてデータを収集しました。温度チャンバー内で周囲温度を71℃に設定して行い、熱電対を使用して部品の温度上昇を記録しました。測定結果とHyperLynx Thermalの予測値の比較を以下の表に示します。

参照番号 ジャンクション温度のテスト結果 HyperLynx Thermalで予測したジャンクション温度
cr9 97.20 98.90
cr14 91.70 92.00
cr20 85.23 86.30
g15 85.99 84.70
u12 88.40 87.70
u24 88.37 88.90
u25 86.67 88.40
u31 89.50 87.60
u32 87.90 89.40
u34 89.90 92.70
u44 87.75 88.30
u50 88.11 89.40
u53 86.05 87.30
u54 85.95 86.30
u56 88.05 88.60