News and Views 2010 Spring
[Product Information | IC設計/機能検証]
複雑化するライブラリ回路設計環境に対応するICanalyst CC
近年の回路規模増大に対して回路設計工程改善の必要性が重要視されていますが、アナログセルに対する回路リユース率が上がらない問題や検証条件の複雑化などにより十分な検証カバレッジを満たすことができないなど、従来の回路設計フローでは解決困難な課題が存在します。そこで、メンター・グラフィックスでは、最新のシミュレーション環境を支援する検証ツールとしてICanalyst(TM)をリリースしています。 ICanalystは、2つの設計工程を支援する機能を有しています。アナデジ混在SoCのトップレベル検証として各セルレベルの抽象度を制御し、複数のコンフィギュレーションによるシミュレーションが可能な「ICanalyst CB」、Unit Verificationとしてセル・キャラクタライズを可能にし、昨今の微細化されたプロセス・ノードに伴う増大したPVTコーナー条件や統計解析結果を管理、スムーズなキャラクタライズ環境を実現した「ICanalyst CC」があります。
今回は、後者の「ICanalyst CC」について、最新機能も交えた、より高度な検証環境をご紹介します。
アナログセル・キャラクタライズ
アナログセル・キャラクタライズには、デジタルセルのキャラクタライズに比べて様々な要因を考慮したキャラクタライゼーションが必要となります。それらの特性を効率良く管理するためには、パラメータや結果データを柔軟に取り扱え、またAC解析やコーナー解析、また統計解析など様々な解析項目が扱える環境が必要となります。
また、シミュレーション実行数の増大に伴う分散処理などによるJob管理も必要となります。
従来のスクリプトレベルで独自に管理している手法では、それらの要因を組み合わせて実行した数万Jobの結果データをまとめることは非常に困難であり、またパラメータ間の相関性などを目に見える形で表示し、結果データの傾向を見るためには膨大な作業時間とデータ収集労力も必要でした。さらには、回路構成ベースでのアナログIPとしてリユースするための回路定数の最適化手法の整備や、素子ばらつき、温度変動などによる外乱要因に対するロバスト設計を考える必要もでてきます。
PVTコーナー解析、モンテカルロ解析
PVTコーナー解析(Process、Voltage、Temperature)は、ICanalystでは図2のように1つのパネルで一元管理されています。
設計者はこの画面を設定、確認するだけで今現在どのプロセスを利用し、電源電圧がいくつか、温度は何度か、どのパラメータSWEEPを実施しているかが把握できます。また、これらの条件は、対象回路ネットリストとは切り離して管理できるため、一度理想的な検証ストラテジーを決定すれば、それらをすべてのテストデータに簡単に適用することができます。また、これらの設定をライブラリとしてシナリオ管理することにより再利用も可能です。これらの解析を実行すると膨大なシミュレーション結果が作成されます。ICanalystではそれらの結果を2D、3D、Histogram、Yield Sensitivity表示で簡単にプロット画面に表示することが可能です。特定のパラメータに対する特性値プロットも可能なため、容易にパラメータ間での相関関係を確認することができます。(図3)
統計解析では、従来のモンテカルロ解析に対応しており、複数Jobの分散処理も可能で、リアルタイムにJob進行度のチェックが可能です。また、複数 Jobの実行が必要なモンテカルロ解析を高速化する手段として、先進的な手法による高速化が可能です。入力ネットリストは全く同一で、シミュレーション実行時のオプションとして、精度オプションを設定します。それらの精度設定に応じて、Cpk(工程能力指数)の収束性を判断し、高速にモンテカルロ解析を終了させます。
最適化、SENSITIVITY解析
アナログセルのキャラクタライズにおいて、Sweep可能なパラメータの選定やターゲット特性値を求める手段としてセンシティビティ・ツールや最適化ツールを利用する手法があります。ICanalystでは、最適化エンジンとして、Eldoに内蔵されている独自の最適化エンジンを利用して最適解を求めることが可能です。この最適化エンジンは、Sequential Quadratic Programming Method(SQP)をベースとして、SQPALソルバーを使用しており、他の手法に比べて、少ないシミュレーション回数で最適解を見つけ、複数の初期値で解析を行うことにより局所解に陥らない工夫がされています。また、従来の最適化ツールでのセットアップの煩雑さを解消するためにICanalystではユーザ・フレンドリなGUIでの設定を可能にし、また図4のように最適解が求められるまでのシミュレーション経過をグラフにすることにより、その最適解が妥当なものであるかをユーザが判断できます。
しかし、回路図の中に存在するパラメータだけで最適化を実行すると、必ずしも最適な値にならない場合があります。素子ばらつきや温度変動などによる外乱要因に対する影響をどう捉えるか、どのように最適化手法に反映させるかが必要となります。そのためにメンター・グラフィックスは、最適化計算の前に予めどのパラメータがどの特性に対して影響度が高いかを見つけ出すSensitivity解析を適用させました。様々なパラメータが存在するアナログセルの最適化計算の前にSensitivity解析を実行させることにより、様々な事象のパラメータがPower特性や出力特性などに対してどう影響を及ぼすかを早い段階で見つけ出し、より堅牢な最適解を見つけることが可能になります。
シミュレーション環境に求められる柔軟性
Canalystで使用されているSensitivity解析は、Eldoに内蔵されているDEX(Design of Experience)解析機能を使用しています。このDEX解析エンジンは狭いレンジでのプロセスばらつき用に開発されたものであり、外乱要因も含めた感度解析にはよりグローバルな手法の適用が必要です。ICanalystのSensitivity解析では、シミュレータとSensitivity解析のエンジンは分かれているため、Sensitivity解析エンジンを柔軟に変更することも可能にしています。また、回路シミュレータについては、 Eldo(SPICEシミュレータ)、ADiT(Fast SPICEシミュレータ)、 QuestaADMS(ミックスシグナル・シミュレータ)などあらゆるシミュレータ・エンジンで利用できるため、回路規模に応じた対応が可能です。
ICanalystでは、従来のスタンダードセルなどの回路ライブラリ形式Liberty Formatによる出力が可能です。シミュレーション・ジョブや特性値の管理を自由に制御できるので、ユーザごとによる細かな出力内容の変更にも柔軟に対応できるよう設計されています。
その他、GUIを利用した一連の作業内容を保存することが可能です。それらの保存された内容をGUIの伴わないバッチスクリプト化して作業の自動化を図ることも可能で、回路デザインが変更された場合や、シミュレータのバージョンアップに伴うリグレッション作業にも利用できます。
また、波形表示にはミックスシグナル波形の表示に適したEZwaveを採用しており、デジタル波形やアナログ波形、さらにはアナデジ混載信号同士の比較などが可能となっており、.extractなどでの特性値測定では検出が難しいGlitchの確認や不定値の期待値照合などをGUI 上で確認することもできます。
ICanalystによるアナログIPキャラクタライズ環境は、使用中の回路図エントリ環境から回路図情報を取り込めるようインタフェースを搭載しており、あらゆる設計工程における効率化UPを支援し、益々複雑性を増すシミュレーション環境に柔軟に対応するシミュレーション環境を提供します。



