Technology Reports 2006
Timing Aware ATPG (Small Delay Test)
図12、13にそれぞれの場合(トランジション故障モデルATPG及びSDQM—ATPG)のATPGからのレポートを示します。まず、トランジション故障モデルATPGのレポートですが、トランジション故障モデルとしては100%のテストカバレージが得られています。 Tmgn=2ns, Tdet=11nsですから、遅延故障ディストリビューションのチャートに示した青のエリア面積がこのパターンに対するSDQMになります。(10.5)また、微小遅延検出率 = Ddet /Dmaxで計算されますので、1/10=0.1=10%となります。これに対して、SDQM-ATPGの方はTmgn=2ns, Tdet=3nsとなり、SDQMは1.5(赤いエリアの面積)になります。また、遅延テストカバレージは9/10=0.9=90%になります。もちろん、トランジション故障モデルのテストカバレージは100%になります。
この結果をどのようにご覧になりますか。トランジション故障モデルのテストカバレージはどちらも100%ですが、SDQM(10.5、1.5)そして遅延テストカバレージは10%、90%と大きな違いがあります。微小遅延の観点からすると、これらのパターンの品質は全く違ったものとなります。これがSTARCの皆さんの疑問、つまり“メンター・グラフィックスや市販のATPGが算出するトランジション故障モデルのカバレージをどのように解釈すべきか“の疑問に対する答えなのです。


2) テストケース2
このテストケースの概要は以下の通りです。
- ゲートサイズ:2百万ゲート(2入力NAND換算)
- スキャンフリップフロップ:69,180
- IOピン:314(入力:82、出力:216、双方向:16)
- スキャンチェーン数:11
- クロック数:4
- SDFのライン数 10,674,239
ATPGの結果を図14に示します。
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パターン数 |
トランジション故障モデルテストカバレージ |
遅延テストカバレージ |
SDQM |
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トランジション故障モデルATPG |
3,668 |
91.23% |
66.13% |
214.8 |
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SDQM ATPG |
3,508 |
91.19% |
67.39% |
208.9 |
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SDQM ATPG (故障モデルドロップ=50%) |
8,642 |
91.26% |
76.26% |
160.5 |
図14: サンプルデザインでの結果
故障モデルドロップ=50%とは、ATPGフローのセクションで説明した故障モデルシミュレーション用の閾値(<(Tdet-Tmgn)/Tdet)のことです。3ライン目のSDQM-ATPGは、この閾値が100%になっています。つまり、どのパスで検出されてもその故障モデルはドロップされます。但し、Tdetは新しいパターンが生成されるたびに、ドロップされた故障モデルに対しても計算されます。ゆえに、ドロップされた故障モデルでもSDQMの値は更新されます。もう少し正確に言えば、各パターンが生成されるたびに活性化されたパスをすべて解析し、活性化されたパス上にある故障モデルに対してのみTdet及びSDQMを更新します。
この結果は、本原稿を記している(2006年2月)時点のもので、STARCとメンター・グラフィックスは、SDQM-ATPGの評価を始めたばかりです。故に、この結果が改善されることが期待されます。
3) テストケース3
このテストケースの概要は以下の通りです。
- ゲートサイズ:24万ゲート(2入力NAND換算)
- スキャンフリップフロップ:13,987
- SDFのライン数 1,941,311
ATPGの結果を図15に示します。
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パターン数 |
トランジション故障モデルテストカバレージ |
遅延テストカバレージ |
SDQM |
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トランジション故障モデルATPG |
5,217 |
90.99% |
84.59% |
36.34 |
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SDQM ATPG |
5,233 |
90.86% |
84,64% |
36.45 |
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SDQM ATPG (故障モデルドロップ=50%) |
9,851 |
90.95% |
85.70% |
34.16 |
図15: サンプルデザインでの結果
(2006年10月)時点のものです。
4) テストケース4
このテストケースの概要は以下の通りです。
- ゲートサイズ:5百万ゲート(2入力NAND換算)
- スキャンフリップフロップ:97,181
- SDFのライン数 17,625,580
ATPGの結果を図15に示します。
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パターン数 |
トランジション故障モデルテストカバレージ |
遅延テストカバレージ |
SDQM |
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トランジション故障モデルATPG |
2,596 |
76.87% |
68.57% |
108.20 |
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SDQM ATPG |
2,530 |
76.84% |
68.93% |
107.80 |
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SDQM ATPG (故障モデルドロップ=50%) |
7,280 |
76.90% |
70.62% |
105.10 |
図16: サンプルデザインでの結果
(2006年10月)時点のものです。
8. まとめと今後の予定
微小遅延の概要がご理解いただけたと思います。微小遅延を検出するためには、従来のトランジションATPGでは不十分でSDQMを用いたATPGが必要であることもお分かりいただけたと思います。ここで1つ重要なことは、このSDQMモデルをターゲットにしたATPGのパターンが“ユニーク”に不良チップを検出できるかと言うことです。フィールドリターンのチップセットを用意してSDQM-ATPGの評価を待ち望んでいるクライアントさんもいらしゃるとお聞きしています。このシリコンでの検証や、いかに正確な微小遅延故障ディストリビューションのチャートを抽出できるかがキーとなると思います。世界中のテストエンジニアが日本発のSDQMの動向に関心を寄せています。
執筆者

Ron Press
Mentor Graphics Corporation

Greg Aldrich
Mentor Graphics Corporation

小林猛夫
Mentor Graphics Corporation

坂尻達雄
メンター・グラフィックス・ジャパン株式会社
