News and Views 2013 Autumn / Vol. 7: ものづくり

PCB実装ソリューション - 「購入」か「内製」か?

プリント基板(PCB)製造/実装用のオペレーションに関して大型ソフトウェアを購入すべきか否かという判断は、経営上の観点からすると大変に悩ましいものです。ソフトウェアは今日、私たちの生活のさまざまな場面で何かを実現する触媒の役割を果たしていますが、製造用ソフトウェアパッケージとなるとその価値を実感しにくいためです。従来の大規模なMES(製造実行システム)やERP(企業資源計画)システムの場合、「一部の機能しか使わないのに、どうして丸ごと購入しなければならないのか」という懐疑的な印象を受けがちです。

「購入」か「内製」かの判断は、業務の採算性や競争力、品質の評判にも影響するため、容易に下せるものではありません。それではどのような要因に基づいて判断すれば良いのでしょうか?

製造工程のさまざまな側面に重要な機能を提供するソフトウェアソリューションを活用することで、迅速な新製品導入、不正な部材段取りの防止、コンフォーマンス(適合性)とコンプライアンス(遵守性)の遵守、安全性が重視される高付加価値製品の実装記録とトレーサビリティ、部材物流管理、品質管理、レポートなどの領域において、コストや品質、納期に関する大きな違いをもたらすことができます。

一方、1970年代に登場したMRP(資材所要量計画)システムに代表されるサプライチェーンシステムは、販売予測システムや製造計画システム、部材注文システム、業務システムをつなぐものでした。設計やBOM(部品表)が複雑化し、最短のサイクルタイムで新製品を導入しなければならない技術が求められてくると、製品設計データ指向のシステムが威力を発揮するようになってきました。

図1. Valor MSS Foundationによるデータ一元管理図1. Valor MSS Foundationによるデータ一元管理
 

ポイントツールによるソリューション

製造工程のさまざまなニーズに対応するように、作成または購入された個々のソフトウェアアプリケーションを使うケースが多く見られます。しかしその結果誕生するのが、製造工程のシステム構成がソフトウェアの「島」として連なる「ソフトウェア列島」構成です。ほとんどの「島」がポイントソリューションであるために、全体としてはデータ管理が重複するなど膨大な作業が発生し、運用コストが上昇してしまいます。

今日では、製造オペレーションにおいて、オペレーションと製造フローに関する社内のノウハウを蓄積したソフトウェア「列島」が構築されていることが多いのではないでしょうか。個々の「島」は、ある時期の特定の製造の弱点にのみ対応するように設計されたソリューションであるため、カバーする範囲も狭くなっています。

また、既にあるものをベースにシステムを構築するため、既存の機能の自動化や統合を第一に考えて、有効であっても柔軟性のないアーキテクチャを構築してしまいます。多品種生産など新しいタイプの生産への適応や拡大、全社的に複数のサイトをカバーする必要に迫られたときに、これは大きな問題となります。

図2. Valor MSS Quality Managementにより工程飛ばしなどミスのない製造を実現図2. Valor MSS Quality Managementにより工程飛ばしなどミスのない製造を実現
 

 

サードパーティの専門ソリューション

ERP/MESソリューションに代わる選択肢として、サードパーティが提供する専門ソリューションの購入があります。サードパーティのソリューションプロバイダはPCB実装に特化したソフトウェア製品を提供しており、オペレーションで使用するシステムのすべての接点に対して運用上のまたは技術的な付加価値をもたらすというメリットがあります。従来のMESと同じように結果情報を使用するものもありますが、このようなシステムは本質的にオペレーションと連動するものであるため、将来的なニーズにもしっかりと応えられるシステムを目的に合わせて探す必要があります。既存の機能を自動化するだけでなく、オペレーションに革新をもたらすようなシステムでなければなりません。また、オペレーションフローを理解、管理するためにERP上の部材情報やプラン情報と密接に連携する必要があり、製品の技術的なデータソースである設計データともつないで各オペレーションの影響を監視、統制できるものでなければなりません。

導入判断基準とコスト

以上の選択肢から最適なものを選ぶために優先すべき基準は、オペレーションによって少しずつ異なります。優先順位の高い判断基準は常に初期コストですが、これよりも重要な判断基準があることを忘れてはいけません。初期コストやランニングコスト、オペレーション上のメリットをすべて考慮した真の所有コストがあり、ソリューション全体としてのROIを基準にして判断することが重要です。ソリューションがどれほどの革新性や柔軟性をもたらすのかも判断基準に入れるべきです。ソリューションの技術的なアーキテクチャ、ERPとの統合しやすさ、企業全体としての価値の提供、カスタマイズを最小限に抑えられるかどうかも検討材料でしょう。

初期コストの観点からこれと対局的に比較されるのが「内製」オプションです。「内製」の初期コストは主に人件費なので安価な印象を受けるかもしれません。また、製造プロセスが抱える具体的な弱点に狙いを定めて社内で開発した内製システムがもたらす価値は魅力的かもしれません。しかし、専任開発者と専門性の高いサポート体制が必要となるため、高い維持コストがかかります。

図3. Valor MSS Process PreparationとLine Executiveにより新製品を初回から正しく製造図3. Valor MSS Process PreparationとLine Executiveにより新製品を初回から正しく製造

製造プロセスの運用、管理、制御に必要な完全かつ正確で有意義なデータをタイムリーに提供するためにはまた、複数ベンダの装置を自動的に接続する機能も不可欠です。このような価値を提供できる最も優れたシステムは高額であったとしても、全体のオペレーション戦略に不可欠な要素であり、投資を素早く回収できます。しかし、高額なシステムの選択に対しては、計画するビジネスの深さと成熟性を考慮に入れなければなりません。

まとめ

すべてのオペレーションを満足させるシステムに到達することは極めて困難です。PCB実装を行うシステム製造のOEMメーカー大手は、PCB実装専門のサードパーティソリューションを採用する傾向が強まっています。実装フロアから業務システム、設計から製造まで垂直的にイノベーションを統合でき、運用コストが大幅に削減され、速度や精度、品質の競争力が強化されることが採用の大きな要因となっています。そして一方、内製ソリューションでは長期的なビジネスニーズに対応することができなかったためです。

大手企業の傾向から将来を占うとすれば、同じ課題を抱える中小の企業も、程度の差こそあれ同じく「購入」の選択が必要になってくると思われます。

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