Enics

Enics Switzerland(Enics)のQuality Assurance Management部門は当初、旧式化しサポート対象から外れた古いテストエリア向けソフトウェアの代わりとして、vCheckソリューションを導入しました。vCheckを導入した主な目的は、すべてのテスト結果を自動収集すること、診断や修復でペーパーレスの閉ループを実現すること、PCB固有のシリアル番号ごとに恒久的な製品履歴の一部としてテストデータを保持することです。しかし、vCheckソリューションのメリットは時間の経過とともに当初の予想をはるかに上回るようになり、今では品質管理システム全体に効果をもたらしています。

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使用ツール

  • vCheckvCheckは品質管理システムであり、品質、スループット、コストのバランス調整によって品質低下を最小限に抑え、製造プロセスで最適なパフォーマンスを引き出す必要がある電子機器メーカー向けに開発されました。

リソース

問題の説明

アフター・セールス・サービスを含むライフサイクル管理には、製品プロセスの正確な履歴、製造される各システムのサブレベル・アセンブリごとのトレーサビリティ、変更とリビジョンの厳格な管理が要求されます。Enicsの目標は、この複雑な多品種製造環境内で最高レベルの品質と顧客サービスを達成し、維持することです。Enicsにとってスプレッドシートによるデータ収集や紙ベース・プロセス管理では信頼性と精度が不十分になり、自動ソフトウェア・ソリューションの導入を決断しました。ソフトウェア・パートナーとしてメンター・グラフィックスを選択した上で、テストエリアの閉ループの修復、製品のトレーサビリティ、総合的な品質管理に向けたソリューションとしてvCheckを導入し、高い成果を収めています。

ソリューション

Enicsの成功の鍵となったのは、メンター・グラフィックスの品質管理ソリューションをユーザ・フレンドリなリアルタイム製造実行システム(MES)の一部として拡張し統合したことです。テストと修復のサポートは、この長期的プロジェクトの初期段階に過ぎません。Enicsが真に必要としていたのは、各製品の系統を明らかにするための完全なトレーサビリティとデバイス履歴です。これには、キッティングから、最終実装、アフター・セールス・サポート(保証範囲内での修理や更新)、製品終了(EOL)に至るまで、プロセス運用プランのあらゆる段階が含まれます。プロセスフロー全体を網羅するvCheckのスケーラブルなサポートは、このニーズを満たしているほか(図1)、迅速かつ正確なレポート機能も備えており、Enicsは顧客のドキュメント要求に応じてレポートを提供できます。

図1 - 準備からパッケージングまで網羅したvCheckのサポート

図1 - 準備からパッケージングまで網羅したvCheckのサポート

SAPとの統合

Enicsにおけるメリット拡大路線の第1段階は、SAPから提供されたEnterprise Resource Planning (ERP)システムとvCheckとの統合でした。これは、不必要なキーボード入力による冗長性やエラーを防止し、自動ワークフローを合理化する上での鍵となります。
SAPとのインタフェースによって作成されたデータ転送ブリッジが、複数階層の部品表(BOM)、製品リビジョン、関連する運用プラン(製造作業指示の作成に必要な各プロセス手順やシーケンスを定義)など、vCheckデータ構造内で必要とされる重要なSAPデータを自動的に転送します。次に、各製品リビジョンについてvCheckの構成が行われ、製品の高度なグラフィック表示、運用プラン中のどの手順がデータ収集を必要とするかについての情報、閉ループ修復に対応した合否ゲート、WIPトラッキング向けのタイムスタンプ、特殊な作業指示が取り込まれます。

ショップフロア・プロセスとの統合

第2段階は、レーザー・マーキング、作業指示が組み込まれた製品の実装検査テスト、ルーティング・シーケンス制御、手動と自動を組み合わせたデータ収集作業など、重要なショップフロア・プロセスとvCheckとの統合です。Enicsはショップフロアへの統合に当たり、適切なvCheckのユーザ・インタフェースをショップフロア内の作業場所へ戦略的に導入しました。新しい製品ファミリや作業場所がvCheck導入プランに追加されても、この手順はスケーラブルに対応しています。vCheckの制御下に追加される手順が増えるにつれて、Enicsへのメリットも拡大してきました。以下では、このソリューションの特長の一部について紹介します。

図2 - ビジュアル検査(VI)ステーション

図2 - ビジュアル検査(VI)ステーション

ルーティング制御

Enicsでは、ビジュアル検査(VI)ステーション・ユーザ・インタフェースを活用して様々なメリットを得ています。まず、レーザー・マーキング作業への統合が挙げられます。vCheckがレーザーIDごとの作業指示を認識すると、PCB上の2Dレーザー・バーコードをスキャンすることによってVIステーションIDが現在の作業に適切な作業指示リビジョンを自動的に呼び出します。Enicsではこのようにして、適切な作業指示リビジョンが使用されていることと、製品が運用プラン内の先行する手順をすべて正しい順序で通過してきたことを常に把握できます。このルーティング制御プロセスは、すべての製品の品質保証につながっています。

動的な作業指示

Enicsへのメリットの1つとして、品質の問題に応じた作業指示の自動更新も挙げられます。例えば、テストや検査で収集された品質データからU15など特定のIC位置に関連したはんだ付けの問題が明らかになった場合は、リアルタイムのドキュメント配布を利用して、問題解決までエンジニアリングによる修正作業を導入できます。すべての作業指示は製品リビジョンと作業ステーションIDにリンクされており、各作業指示はオフラインで追加や修正が可能なので、修正作業の策定と導入は極めて迅速に行えます。

リアルタイム・ドリルダウン・レポート

この機能に検査/テストデータのリアルタイム・ドリルダウン・レポートを組み合わせれば、品質問題の極めて迅速な発見と修正が可能になり、コストがかかる再作業を防げます。また、最高品質の製品を提供して、Enicsに対する顧客の信頼という高い価値を守れます。

カスタム・レポートは必要なドリルダウン変数を含めExcelファイルへ迅速にエクスポート可能なので、履歴データや最新データなど各顧客が品質レポートに求めるものを短時間で正確に提供できます。

ボックス製造の系統図

トレーサビリティは顧客からの主要要件なので、プロセスデータと製品構成のチェーンが途切れないようにするための強固な機能の導入が欠かせません。Enicsは、vCheckを用いた自動化手法でこの機能を実現しています。新しいデジタル・コントローラ製品の多くではキャリブレーション・モデルに差があるので、これは特にファームウェア・リビジョンの分野で重要です。vCheckは、個別のユニットIDを上層のボックスID(ファームウェアなどのサブユニットIDを含む)に結び付けて、各ボックス(システム)の系統図を作成します。保証範囲内での修理や更新のためにアイテムが返送されてきても、システム系統の迅速な評価や分類が可能なので、これはvCheckの重要な機能となっています。

データ収集

Enicsは、手動/ビジュアル検査、ICT、機能テストなど品質データが生成される作業の大半にvCheckのVIステーションとテスト/修復(TAR)ステーション(図3)のユーザ・インタフェースを利用しています。

図3 - テスト/修復(TAR)ステーション

図3 - テスト/修復(TAR)ステーション

まず、TARステーションがテスト装置と直接やり取りをして、テスト結果やパラメータを自動的にキャプチャします。次に、オペレータがTARステーションの診断ツールを使って、テスト結果の有効性を判断します。結果として行われる診断や修復の手順は、ナレッジベースにキャプチャされ、今後発生する同一または同様の問題の診断に役立てられます。Enicsはこの手順をさらに押し進め、vCheck TARステーションをLabView(National Instruments)とのインタフェースにリンクすることによって、より強固な診断ツールキットを実現しています。いずれの場合でも、閉ループ制御機能が初回パスでの歩留まりと2回目のパスでの歩留まりを個別に追跡しており、故障ユニットは、修復されテストに合格してからでないと次の製造ステーションに進めません。

vCheckの最もシンプルなデータ収集機能では、VIステーションをWIPトラッキングのチェックポイントとして利用します。この場合、Enicsのオペレータはステーションで製品IDをスキャンするだけであり、システムがタイムスタンプ、場所名、オペレータ名を収集してデータベースに格納します。このデータは、各作業指示やプロセスエリアにおける進捗またはボトルネックを追跡する際に極めて有効です。

vCheckシステム内で収集されたすべてのデータ・アイテムを統合することで、充実したリレーショナル・データベースが構築されています。このデータベースは、顧客へのサポートや応答性、部門間やスタッフ間の共同作業、製造プロセスの継続的な改善といった分野で有形/無形のメリットをEnicsにもたらしています。また、Webベースによるアクセス性の高さが工場内の全ユーザにとって役立っています。

Enicsにおけるメリットのまとめ

EnicsのQuality Manager、André Beier氏はインタビューの中で、vCheckを工場に導入して得られたメリットを以下のようにまとめました。

  1. 目に見える品質と、製品の陰に隠れて見えない品質プロセスがあります。vCheckによって、品質データの可視性とアクセス性が向上しました。
  2. 顧客からの返品が減少しました。vCheckを利用した場合、各プロセスが適切に完了してからでないと次の手順に進めません。また、オペレータは数多くのリビジョン変更の正確な扱いを強いられます。従来の紙ベース・プロセスは許容度が高かったので、誤ったリビジョンの使用が簡単に発生していました。
  3. vCheckはプロセスフローの合理化にも貢献しました。これは測定困難なメリットですが、vCheckによって業務効率が優に15%は向上したと思われます。
  4. 現在ではペーパーレスの業務を導入し、紙の紛失や誤配によるエラーの解消、混乱をもたらす個人化されたペーパーワークの排除、誰もが理解できる標準化された集中型プロセスの構築を実現しています。
  5. vCheckの場合、作業指示書に線画ではなく多様なカラー写真を使用できます。これにより、オペレータにはるかに的確な指示を出せるようになりました。写真の下にCADデータレイヤを重ねることで、あいまいさのない明確なグラフィック表示が可能になり、リアルに表現します。
  6. vCheckは応答時間を大幅に短縮しました。Enicsの多品種環境では、柔軟性が必須です。vCheckには標準ツールが採用されているので、スタッフは特別なトレーニングを受けずに別のプロセスエリアに移れます。すべてが画面上に明確に示され、ペースを落とすことなく高い柔軟性を維持できます。
  7. Enicsは優れた業績をあげており、高い競争力を維持しています。Enicsの成功は高い品質に直接結び付いたものであり、vCheckはこの成功で大きな役割を果たしています。

Enicsについて

Enicsはチューリッヒに本社を構えた大規模な第2階層のEMS企業であり、ヨーロッパとアジアに合計で9つの製造施設を展開しています。産業用や医療用電子機器向けにライフ・サイクル・サービス・ソリューションを提供することを専門としています(www.enics.comを参照)。2007年には、産業用電子機器の販売で世界第4位を獲得しました。Turgi工場はおよそ1,800種類の製品を製造する多品種環境を運用しており、EnicsにとってエンジニアリングとITの中心的存在となっています。